2017年4月1日 現在
法人に資産を贈与又は低額譲渡した場合には、時価により譲渡したものとみなす。
例 甲は、時価 3,500万円の土地( 6年前に2000万円で取得)を、A社に贈与。
A:みなし譲渡代金 | 3,500 万円 |
B:取得原価 | 2,000 万円 |
C:差引(A-B) | 1,500 万円 ------> 甲の分離長期譲渡所得 |
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例 | 乙は、時価 5,000万円の株式(2年前に1,000万円で取得)を、Y社に2,000万円で譲渡。 |
2,000万円<5,000万円×1/2 よって低額譲渡に該当
A:みなし譲渡代金 | 5,000 万円 |
B:取得原価 | 1,000 万円 |
C:差引(A-B) | 4,000 万円 ------> 乙の株式等に係る譲渡所得等 |
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個人に資産を低額譲渡(時価の1/2未満)した場合には、譲渡損はないものとみなす。
例 | 丙は、時価 200万円の絵画(10年前に100万円で取得)を、丁氏に80万で譲渡。 |
相続税申告期限から3年内に相続財産を譲渡した場合には、相続税額を取得費に加算できる。
例 | 甲は下記の財産を相続し、相続後2年目に絵画Aを3,000万円で譲渡した。 相続財産の原始取得時期はすべて10年以上前である。 |
売却価額 | 相続評価 | 取得価額 | (単位:万円) | |
A:絵画 | 3,000 | 2,000 | 550 | |
B:絵画 | ----- | 4,000 | 480 | |
C:土地 | ----- | 10,000 | 850 | |
X:相続評価合計 | 16,000 | ------> | Y:相続税額 1,000 |
取得費に加算される相続税=1,000×(2,000/16,000)=125
総合課税の長期譲渡所得の金額=3,000-(550+125)=2,325
次の場合、その回収できなくなった金額又は行使できなくなった金額は譲渡所得の計算上なかったものとみなす。
(1)資産の譲渡代金の全部又は一部が回収できなくなった場合
(2)保証債務を履行するため資産の譲渡をした場合に、その履行に伴う求償権の全部又は一部を行使することができなくなった場合
譲渡所得の計算上なかったものとみなされる金額は、次のうち最も低い金額とする。
(1) 回収不能額
(2) 総所得金額等
(3) (1)に係る譲渡所得の金額
例 事業所得1,000万円の人が、20年前に3,000万円で取得した土地をD社8,000万円で売却
その後、D社が法的手続きの決定を受けて、8,000万円のうち4,000万円が回収不能になった場合
(1) 回収不能額 4,000万円
(2) 総所得金額等 6,000万円 (事業所得1,000万円+譲渡所得5,000万円)
(3) 譲渡所得の金額 5,000万円 (8,000万円-3,000万円)
固定資産の交換は、原則として譲渡所得が課されるが、一定の要件により課税が繰延べされる。
(1)同一種類 (土地と土地、建物と建物など) の交換であること
(2)取得資産の時価と譲渡資産の時価の差額が、いずれか多い時価の20%以下
(3)その他 (双方1年以上所有していた固定資産、取得資産を前と同じ用途で使うなど)
(1)等価交換
譲渡所得 譲渡はなかったものとみなす
取得資産の取得価額 譲渡資産の取得費
(2)交付差金を交付
譲渡所得 譲渡はなかったものとみなす
取得資産の取得価額 譲渡資産の取得費+交換差金
(3)交付差金を取得
譲渡所得 交換差金-譲渡資産の取得費×(交換差金/譲渡資産の時価)
取得資産の取得価額 譲渡資産の取得費×(取得資産の時価/譲渡資産の時価)
例
(1)等価交換
譲渡資産 | 取得資産 | |
土地 | 借地権 | |
時価 | 3,000万円 | 3,000万円 |
簿価 | 1,800万円 | ----- |
金銭支払 | ||
金銭受領 |
譲渡所得 | なし | |
取得資産の取得価額 | 1,800万円 |
(2)交付金銭を交付
譲渡資産 | 取得資産 | |
土地 | 土地 | |
時価 | 9,000万円 | 1億円 |
簿価 | 3,000万円 | ----- |
金銭支払 | 1,000万円 | |
金銭受領 |
1億円-9,000万円=1,000万円≦1億円×20% ∴交換適格 | ||
譲渡所得 | なし | |
取得資産の取得価額 | 4,000万円(=3,000万円+1,000万円) |
(3)交付金銭を取得
譲渡資産 | 取得資産 | |
土地 | 土地 | |
時価 | 1億円 | 9,000万円 |
簿価 | 3,000万円 | ----- |
金銭支払 | ||
金銭受領 | 1,000万円 |
1億円-9,000万円=1,000万円≦1億円×20% ∴交換適格 | ||
譲渡所得 | 700万円 | (=1,000万円-3,000万円×1,000万円/1億円) |
取得資産の取得価額 | 2,700万円 | (=3,000万円×9,000万円/1億円) |
個人が、その居住の用に供している家屋やその敷地を譲渡した場合には、 3,000万円の特別控除が受けられる。
・所有期間や居住期間の制限は無い。
・《2》との併用可、《3》との併用不可
・譲渡先が親族等である場合は不可
個人が、居住用財産である土地家屋等を譲渡した場合
税率が次のように軽減される。
分離課税長期譲渡所得が6,000万円以下の部分 10.21%
分離課税長期譲渡所得が6,000万円超 の部分 15.315%
・所有期間は10年超が要件
・《1》との併用可、《3》との併用不可
・譲渡先が親族等である場合は不可
個人が、居住用財産である土地家屋等を譲渡し、かつ
譲渡の前年から翌年12月31日までに居住用財産を取得し、居住した場合、
譲渡所得の計算はつぎのようになる。
(1) 譲渡収入金額≦買換資産資産の取得価額
資産の譲渡はなかったものとみなされる。
(2) 譲渡収入金額>買換資産資産の取得価額
A=譲渡収入金額
B=買換資産の取得価額
X=譲渡資産の取得費+譲渡費用
分離長期譲渡所得の金額=(A-B)-X ×(A-B)/A
・所有期間は10年超が要件
・居住期間は10年以上が要件
・買換資産の建物50㎡以上、土地500㎡以下
・《1》、《2》との併用不可
・譲渡価額は1億円以下
・譲渡先が親族等である場合は不可
個人が、その年の1月1日現在所有期間5年を超える、
自己の居住用財産である土地家屋等を譲渡し、かつ
譲渡の前年から翌年12月31日までに居住用財産を取得し、居住した場合、
譲渡損失は損益通算および3年間繰越控除できる。
・買換資産に係る住宅借入金等があることが条件
・買換資産は床面積50㎡以上
・譲渡資産は500㎡まで
・合計所得が3,000万円以下(繰越控除
・譲渡先が親族等である場合は不可
個人が、その年の1月1日現在所有期間が5年を超える、 自己の居住用財産である土地家屋等を譲渡した場合、
譲渡損失は損益通算および3年間繰越控除できる。
・限度額
A: 譲渡損失の金額=取得価額-譲渡価額
B: ローン残債-譲渡価額
※ A・Bのいづれか小さいほう
・合計所得金額が3,000万以下(繰越控除)
・譲渡先が親族等である場合は不可
・住宅借入金等特別控除との併用可