2006年8月15日 現在
会社には株式会社と、持分会社と呼ばれる合名会社、合資会社、合同会社の4種類があります。旧商法における有限会社は株式会社に吸収され、あらたに合同会社が設けられました。ここで取り上げるのは「株式会社」です。また、株式会社の設立の方法には「発起設立」と「募集設立」がありますが、ここでは「発起設立」を取り扱います。発起設立とは、会社の設立に際し発行する株式の全部を発起人が引き受ける場合をいいます。発起人は一人でも数人でもいいのですが、手続きを簡単にするため、発起人を一人、すなわち「一人設立」を例として説明します。
会社を設立する場合、次のような事項を決定しておく必要があります。ただし後で示すように変更しなければならない可能性もあります。
1 商号 会社の名前
2 本店所在地 会社の場所
3 目的 会社の営業内容
4 決算日 会社の決算日
5 株主構成 資本金はいくらにするか、誰が何株持つか
6 役員構成 機関設計、および取締役等の決定
7 払込期日 いつまでに資本金を払い込むか
8 払込金融機関 どの銀行で払込を行なうか
これらの事項は早ければ設立の1ヶ月前、遅くても2週間前には決めておいたほうが良いでしょう。
従来の商法では、株式会社は「取締役3人以上、取締役会、監査役1人以上」と強制されていました。今回の新会社法では、「取締役1人、取締役会を設置せず、監査役も置かない」といった形がとれるようになりました。ただし以下では個別の説明がない限り、「取締役3人以上、取締役会、監査役1人以上」の場合について説明します。
従来は同一市町村内においては、同じ営業のために、同じ商号や類似した商号を用いることができなかったため、設立手続きを開始する前に、登記所(法務局およびその出張所)で「類似商号の調査」が必要でした。新会社法では同一場所での同一商号のみが規制されますので、従来の意味での調査は必要ないと思われます。ただし、不正競争防止法や商標権の侵害などに抵触しないよう事前調査は必要でしょう。
従来の登記実務では、目的が抽象的であるとか、一般に認知されていないとかの理由で受理されないことがありましたが、今回「目的の具体性」については審査しないことになりました。しかし会社の事業内容が何であるかを知りうる程度の具体的な記載は望まれます。
定款の認証に際して、発起人全員の印鑑証明書が各1通必要です。また代表取締役に就任予定の者は、就任承諾を証する書面に添付するため、印鑑証明書がもう1通必要になります。
会社の設立に際しては、会社の代表印を届出する必要があります。代表印の作成には数日から1週間かかることがありますから、なるべく早く代表印を発注してください。
発起人決定書 9月27日
定款認証 9月28日
株式払込み 9月29日
本店所在地決定書 9月30日
設立時代表取締役選定決議書 9月30日
登記申請 10月 1日
上記の日程は最速に近いものです。実際はもう少し余裕をもって日程を作成してください。
実務的には(本当はまずいのでしょうが)、上記の手続きの最初の日(例では9月27日)の2,3日前に、全ての書類を作成し、印鑑を押しておきます。この時までに個人の印鑑証明書や会社の代表印を用意しておかなければなりません。また、取締役、監査役に就任予定の人にはこれらの書類をみてもらい、就任の承諾を得て就任承諾書に署名押印してもらうのがよいでしょう。
書類の作成が終わったら、実際に体を動かして次の手続きをします。
トラブルがない場合は、1週間から10日程度後に会社の登記簿謄本や印鑑証明が取れるようになります。これで会社は法律的に設立されたことになります。
会社が設立しても、会社として必要な手続きをしなければなりません。