2.役員変更 概要

2006年8月15日 現在

2-1 概要

2―1―1 取締役

 取締役は、原則として、会社の業務執行機関であり、その過半数をもって業務を決定する業務決定機関です。ただし代表取締役を選定した場合は、代表取締役が業務執行機関となり、取締役会設置会社では取締役会が業務決定機関となります。

 取締役は、自然人に限られ会社その他の法人は、取締役にはなれません。取締役は株主である必要はなく、非公開会社を除いては、定款をもってしても、取締役を株主に限ることはできません。また未成年者であっても意思能力があれば取締役に選任することができます。

 株式会社は取締役を1人以上置くことが必要ですが、取締役会設置会社では3人以上の取締役を置かなければなりません。取締役は株主総会で選任されますが、定時株主総会でも臨時株主総会でもかまいません。取締役の選任決議は、普通決議によります。普通決議とは発行済株式の過半数の株式を有する株主が出席し、その議決権の過半数の賛成により可決する方法です。また選任の効果は本人の承諾の意思表示があったときに生じます。

 取締役の任期は原則2年です(定款の定めで10年まで延長可)。ただし通常定款において「取締役の任期は、就任後2年内の最終の決算期の冠する定時株主総会の終結の時までとする。」と定められていますので、一般的には定時総会で選任され、2年後の定時総会まで任期があります。

 取締役会設置会社で取締役が3名いる場合、そのうち1名が任期の途中で退任し新たに取締役を選任する場合や、単に新しい取締役を選任し増員する場合、通常定款において「補欠又は増員により就任にした取締役の任期は、現任取締役の任期の満了すべき時までとする」と定められていますので、任期は他の取締役と揃うことになります。

 取締役は上記のように「任期満了」だけでなく、本人の意思による「辞任」、株主総会の普通決議による「解任」によっても退任します。


2―1―2 代表取締役

 会社を代表する取締役を、代表取締役といいます。代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有します。

取締役会が設置されていない会社では、別途に代表取締役を定めない限り、取締役は、各自単独で会社を代表します。ただし、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を選定することができます。

 取締役会が設置されている会社では、取締役会の決議により代表取締役を1名以上選定しなければなりません。この選定は取締役の過半数が出席し、その過半数で決します。また選任の効果は本人の承諾の意思表示があったときに生じます。

 代表取締役は取締役であることを前提にしていますので、当人の取締役の任期が代表取締役の任期になります。また代表取締役にも「任期満了」だけでなく、本人の意思による「辞任」、取締役会決議による「解職」による退任があります。


2―1―3 監査役

 監査役は取締役の職務執行を監査するもので、原則として会計監査を含む業務監査の権限を有します。ただしただし、非公開会社(株式譲渡制限のある会社)は、定款で会計監査権限に限定することができます。

 監査役は、定款で設置を定める任意の機関ですが、取締役会設置会社では監査役を1名以上置かなければなりません。

法人が監査役になれないのは取締役と同様ですが、会社の従業員も監査役にはならません。さらに会社が子会社を有する場合、子会社の取締役や従業員も会社の監査役にはなれません。

監査役は、株主総会の普通決議で選任されます。任期は原則4年ですが、定款で最長10年まで延長できます。監査役は「任期満了」だけでなく、本人の意思による「辞任」、株主総会の普通決議による「解任」によっても退任します。


2-1-4 取締役会

取締役会は、任意の機関で、すべての取締役で組織されます。取締役会設置会社では、取締役会は、次の職務を行ないます。

(1)取締役会設置会社の業務執行の決定 
(2)取締役の職務の執行の監督 
(3)代表取締役の選定及び解職 

また、取締役会で選定された代表取締役は、取締役会設置会社の業務を執行します。


2-1-5 会計参与

会計参与は、取締役と共同して計算書類を作成し、株主総会で計算書類の説明をするなどの権限を有します。

会計参与の資格は、公認会計士・監査法人・税理士・税理士法人です。監査法人・税理士法人は、社員の中から会計参与の職務を行う者を選定しなければなりません。また、子会社の取締役・監査役などは、会計参与になることができません。

会計参与は、定款で設置を定める任意の機関ですが、取締役会設置会社では監査役か会計参与を設置しなければなりません。

会計参与は、株主総会の普通決議で選任されます。会計参与の任期は原則2年です。ただし、定款で任期の10年まで延長できます。

会計参与は上記のように「任期満了」だけでなく、本人の意思による「辞任」、株主総会の普通決議による「解任」によっても退任します。