4.特例

2023年3月1日 現在

4-1 小規模宅地等についての計算の特例

制度の概要

相続等により取得した財産のうち、 被相続人等の事業または居住の用に供されていた 宅地等がある場合、一定面積まで評価額が減額される。 なお、相続時精算課税に係る贈与によって取得した宅地等については、この特例の適用を受けることはできない。

減額の対象となる宅地等

  上限面積 減額割合
1:特定事業用宅地等  400㎡ 80%
2:特定同族会社事業用宅地等  400㎡ 80%
3:貸付事業用宅地等  200㎡ 50%
4:特定居住用宅地等  330㎡ 80%
  • 原則として相続税の申告期限までに事業又は居住を継続している場合にのみ適用。
  • 限度面積
    特定住居用と特定事業用の適用を受ける場合には、合計730㎡
    貸付事業用を含む複数適用を受ける場合には、一定の調整計算が必要

 1:特定事業用宅地等
  被相続人等の事業(不動産貸付業等を除く)の用に供されていた宅地等で一定の
      もの。

2:特定同族会社事業用宅地等
  相続開始直前に、被相続人等の発行済株式の10分の5超を保有している法人の
  事業の用に供されている宅地等で一定のもの。

3:貸付事業用宅地等
  被相続人等の事業(不動産貸付業等に限る)の用に供されていた宅地等で一定
      のもの。

4:特定居住用宅地等

 A   被相続人の居住の用に供されていた宅地等で、下記のものが取得する場合
  (1) 配偶者
  (2) 同居親族(申告期限まで居住)
  (3) 3年間持家のない非同居親族(1、2がいない場合)
 B   被相続人と生計を一にする親族の居住の用に供されていた宅地等で、
下記のものが取得する場合
  (1) 配偶者
  (2) 生計一親族(申告期限まで居住)

5:近年の主な改正事項 

(1) 平成26年1月以後の相続等

① 二世帯住宅の見直し
  被相続人及び親族が各独立部分に別々に居住していた場合、
    両者が居住していた部分が特例対象に (行き来できなくても可)
    ただし、区分所有登記建物は、被相続人の居住部分のみ対象
② 老人ホーム入居の見直し
  介護のための入居で、自宅貸付けていなければ特定対象に

(2) 平成30年4月以後の相続等

① 「家なき子」要件の見直し 次の者を除外
  ・3年間に、自己、配偶者、親族等、関係会社の家屋に居住していた 
    ・相続時の居住用家屋を過去に所有していた
② 貸付事業用宅地等の見直し
  3年以内に貸付事業の用に供された宅地等は適用除外 
    ただし3年超事業的規模で貸付事業を行っていた場合の上記宅地等は適用対象

(3) 平成31年4月以後の相続等

   特定事業用宅地等の見直し
 3年以内に新たに事業の用に供された宅地等の除外 
   ただし「建物等価額≧宅地等価額×15%」の上記宅地等は適用対象       

適用対象の判定等

  • 居住又は事業を継続する者としない者が宅地等を共同相続した場合には、取得した者ごとに適用要件を判定。 
  • 居住用の部分と貸付用の部分があるマンションの敷地等については、それぞれの部分ごとに按分して軽減割合を計算。

 

4-2 非上場株式等の相続税の納税猶予及び免除の特例

法人版事業承継税制の概要

非上場会社の後継者である相続人等が一定の要件を満たす場合には、 
その株式等(発行済株式総数の2/3に達するまでの一定の部分)に係る課税価格の
80%に対応する相続税の納税が猶予され、後継者の死亡等により、猶予された納税が免除される。

 

4-3 教育資金の一括贈与を受けた場合の特例

制度の概要

令和8年3月31日までの間に直系尊属(祖父母、父母)から30歳未満の孫・子への教育費を贈与した場合には、受贈者1人につき、1,500万円まで非課税となる。

  • 塾・予備校等の月謝等についは500万円まで非課税
  • 受贈者が30歳に達した場合は、(非課税-支出額)の贈与税(一般税率)が課される

4-4 結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の特例

制度の概要

令和7年3月31日までの間に直系尊属(祖父母、父母)から18歳以上50歳未満の孫・子へ結婚・子育て資金を贈与した場合には、受贈者1人につき、1,000万円まで非課税となる。

  • 結婚に際しての支払は、300万円まで非課税
  • 受贈者が50歳に達した場合は、(非課税-支出額)の贈与税(一般税率)が課される